皆さんは一卵性双生児
いわゆる双子に発症するTTTS
という病気をご存知ですか?
今回はekuboをご利用されているゆみさんに【自分の子がTTTSだと判明した時】から【現在】までに起こった心境の変化や想いを聞いて来ました。その内容を本記事を通してお伝えします。
TTTSでレーザー手術を決意して出産したママが、今の二人を育てていて
まず、診断を受けたときのことを教えてください。
そうですね、時系列からお話しすると…。
まず、一卵性双生児を授かったことがわかりました。その時に産婦人科の先生からリスクの一つとしてTTTSの説明もあったのは覚えていました。
そのまま順調に5か月を迎えた頃。【お腹の中の二人の大きさに差がある】ということで母子医療センターに紹介され、受診することになり。
それが17週の時でした。初めての受診の時に「次の検診まで二人は生きているかわからない」と宣告されたんです。受血児だったゆいとの心疾患もおそらく【TTTSからくるものだろう】と。
まさか・・・。そんなことを聞かされるとは。思いもよりませんでしたね。
その時『目の前が真っ暗になる』という、まさにそれを体感しました。しかも、それを聞いたと同時に【その日のうちにどうするか?】を決めないといけなかったんです。
何の心の準備もできないまま決断を迫られるのはさぞ、混乱されたと思います。『どうするか?』とは、治療方針ですか?
そうです。
- レーザー手術(胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術:FLP)
- そのまま様子観察
- 中絶
この選択肢のうち、どれにするか?ということでした。
渚)ショックを受ける暇もなく決めないといけなかったんですね。
多少、夫婦間で意見の相違はあったものの、中絶という選択肢はなかった。でも、レーザーをしたところでどうか?
「障がいが残るかもしれないし、結構厳しい。」という説明はありました。けれど、時間がない。私たちが出した答えは…。
たとえ障がいをもって生まれたとしても、生まれてから夫婦で何とかすればいい。
という答えでした。そして3日後にレーザー手術を受けました。
あれよあれよという間にことが進んだんですね。
(私は思った。レーザー手術というけれど、そんなに簡単な手術ではない。母体にもリスクがある。ゆみさんの、そのハッキリとした言葉の裏側にある、我が子たちを思う気持ちにとても共感し、そして心から尊敬した。ぐっときてしまった。)
その後、順調だったのですか?
17週でレーザー手術を受け、2週間で退院しました。でも、27週で出血と陣痛が起こりました。
すぐに入院して点滴で何とか抑えながら1週間耐えたのですが、28週でみなとの心拍が落ちたんです。
すぐに緊急帝王切開になりました。そしてみなと732g、ゆいと990gで生まれました。
とてもとても小さかったでしょうね。そんなに小さく生まれて。心配でしたでしょう。その二人を想像すると涙が出でそうです。
今、目の前にいるゆいとくんを見るとこんなに大きくなってくれて…。安堵と感謝しかないですね。NICUはいつまでいたんですか?
二人ともNICUは10ヶ月いました。けれどその間、ゆいとは2ヶ月でヒトサイトメガロウイルスによる壊死性腸炎を起こしてしまって人工肛門で半年間過ごしました。
それで3回ぐらい手術をしたなあ。みなとはネーザルハイフローをずっとつけていたのだけれど、ウイルス感染してしまって挿管+人工呼吸器管理になりました。
一時は危なかったんです。その時のことを思い出すと、今でも辛い。その後も呼吸器離脱ができなくて人工呼吸器+気管切開となりました。
【一難去ってまた一難】の連続で、本当にいろんなことを二人はあの小さい身体で乗り越えてきたんですね。お母さんも、ずっと気が落ち着かなかったでしょうね。よく頑張ってこられましたね、子供たちもゆみさんも。
本当にそうでした。でも【こどもは強いな】って思います。生命力を感じます。みなとは6000gで一般病棟にうつることになり、ゆいとが5000gで在宅酸素で先に退院しました。
そして、みなとも在宅で生活できるように、私たちが色々指導や訓練期間を経て1歳7か月で退院になりました。そして、みなとが家に帰ってくるタイミングもあり、医的ケア児を見てもらえるekuboにゆいとを預ける運びになりました。
(けど、みなとくんが退院して、在宅生活がはじまってすぐにまたみなとくんが入院したことを思い出す。やっと連れて帰ってこれたと思ったらまた入院。心配だったろうし、大変だったろうなあ。)
今二人をみていてどうですか?
8割方、大変です。(笑)私は今日一日何をやっていたのかな?と思うことも多々。でもふとしたときにね。
ああ、元気に育ってくれて嬉しい。生まれてくれて、よかったなあ。
って、思うんです。
みなとくん、ゆいとくん二人に望むことはありますか?
元気に育ってほしい。色んな人に関わって、色々経験してほしい。けどね、それって
医的ケア・障がいがあるからと言って我が子に対するこんな想いって特別じゃなくて
きっと、どの親御さんでも想ってらっしゃることと、一緒だと思うんです。普通の子育てと何も変わらない。
障がいがあるからといって子育てでイライラしないかといえば、そうじゃない。イライラもすることある。(笑)
けれど、他の子の話を聞いた時に、「え、普通の子ってそうなんや」と違いを感じることはある。
でも、別に落ち込まないです。焦ってもいません。元気に育ってくれたら、それでいい。ゆっくりでいいよ(^-^)と。
けど、ekuboに行ってからできることがすごく増えました!
今、何か目標にしていることはありますか?
ほんと目の前の目標だけれど。『おばあちゃんのおうちに、行く』みたいな
ちょっとでいいから、パパ、みなと、ゆいと、私の【4人でお出かけができたらいいな。】
似た境遇のお母さんに声を掛るとしたら、どんな言葉になりますか?
絶対にOPE(レーザー手術)をしたほうがいいとは言えない。たまにOPE(レーザー手術)をしなかったらどうなっていたのだろう?と考えることもある。
でも手術をしなかったらよかったとは思わない。だって今、何とかなっているから。
そして、子どもって思っているよりも、すごく強いと思ったから。
みなと、ゆいとを産んで、この二人に【医的ケア・障がいがあったからこそ世の中には色んな人たちがいることを知りました。】色んなサポートの存在も知りました。だから…。
助けてくれる人はいるよ。って言葉かな。
診断を受けたあの時、決断をしなければならなかったご自身に声を掛けるとしたらどんな言葉になりますか?
まだ子育て歴2年なので何とも言えないですが…
人生がガラッと変わるよ。でも、それも悪くないよ
って感じでしょうか。どんな決断をしたとしても、命の選択は難しいし、これまでの価値観や周りとの関わり方をガラッと変えるものだと思います。でも夫をはじめ、様々な人が周りにいるよって教えてあげたいかな。
インタビューを終えて
はらはらしながら、苦しくなりながら、安堵で胸をなでおろしながらお話を聞き、ゆみさんや、二人のことを思うとのどの詰まるような感覚と、気を抜けば涙があふれそうになる瞬間を何度も繰り返しながら聞いていた。お母さんたちとお話をしていて、いつも共通して思うことがあるのは
母は強い。
ということ。
でもね。
いつも頑張っているお母さん、たまには力をぬくこともしてください。
独りで頑張らなくていい。子こどもはみんなで育てていくものだから。いっぱい、いろんな人に頼っていいんです。3児の母親でもある私の持論ですが【お母さんたちは仲間です。】
仲間が困っていたり、助けを必要としていたら、支えたり、力になるのは当然だから。
ekuboの始まりも、その気持ちからです。お預かりさせていただいている子どもたちはもちろんのこと、お母さんたちをとても大切に思っています。
ゆみさん、貴重なお話をきかせていただいてありがとうございました。どうか、誰かの勇気や希望になりますように。そして
こんな奇跡の二人を私たちに預けて下さり、間近に成長と奇跡を感じることができ愛おしい時間を一緒に過ごせる私たちekuboは幸せです。
TTTSとは
双胎間輸血症候群(Twin-twin transfusion syndrome:TTTS)は双胎(そうたい)を妊娠中に、ひとりの胎児(供血児)からもうひとりの胎児(受血児)へ血液が移行してしまい、そのため2人の胎児の発育に大きな差がでる。
一絨毛膜双胎の約 10%に起こり、妊娠の早い時期でかつ無治療では胎児の救命は困難。
* 血液を過剰に受け取っている方の胎児を「受血児」、血液を送り出している胎児を「供血児」とよぶ。
受血児は、心不全や胎児水腫(むくみ)になる。尿量が極端に増えるため羊水過多を引き起こすが、重症羊水過多では流産や早産の可能性が増加。
* 供血児は、発育不全で小さくなり、また腎不全で尿量が少なくなるために羊水過少となる。
遅々として進まないこの状況、
世の中を変える一石を投じたい。
そのためには出来ないじゃなく
どうやったらできるのかで考える。
そんな思いを持ち
ekuboスタッフ一同は
今日も子どもたちに
溢れんばかりの沢山の愛情を注いでいます。
八方ふさがりになっていたり
独りで抱えていたり
迷っていらっしゃるママさんがもしいたら。
ekuboは
いつでも両手を広げてお待ちしております(^-^)
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